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大峰  南奥駆道1 太尾登山口〜持経ノ宿往復

sanpo.no.1116  25年5月13日(月) 快晴   単独  
コースタイム:太尾登山口8:44〜10:29千丈平〜11:03深仙ノ宿〜11:40太古ノ辻12:20〜13:25天狗山〜14:20嫁越峠〜地蔵岳〜笹ノ宿跡〜16:38涅槃岳〜17:08証誠無漏岳〜17:42阿須迦利岳〜17:53持経ノ宿泊




  大阪からは北奥駆道に比べて南奥駆道ははなはだ交通の便が悪い前鬼から車で入っても太古ノ辻まで1日近くかかってしまう。この南奥駆道を歩くには日帰りは到底無理で、小屋泊まりかテント泊で縦走するのが通常である。大峰曼荼羅会のO氏がピストンしながら部分縦走したことを聞き、時間がたっぷりある身になったので、季節がよく天候のよい日を選んで登山口からピストンすることになった。

赤井谷の降り口 広々とした開放的な尾根道になる


 朝、家を6時頃出発し稲村ヶ岳の太尾登山口に8時20分頃着く。3台の車が停っており、出発準備をしていると長岡からの方が車で到着し釈迦ヶ岳を往復するという。昨春遡行した赤井谷の降り口までは急な登りであるが、ここを過ぎると広々とした開放的な尾根道になり気持ちのよい山歩きが出来る。まだ木々は芽吹き始めたところで、バイケイソウが目立ち、枯れ草の小さな隙間に森のバレーリナ「ヒメイチゲ」が舞う。このヒメイチゲによく似たワチガイソウも負けじと競演するのである。まあ今日は長丁場だからゆっくりと写真も撮っていられない。

ヒメイチゲ ワチガイソウ




 前方には大峰奥駆道では最も人気のある釈迦ヶ岳が出迎えてくれる。
釈迦ヶ岳 1799.6m 先を行く長岡の方




 千丈平は日本庭園のような湿地帯でこの時期はバイケイソウが大群落を作っている。間もなく「かくし水」と呼ばれる水場があり、キャンプ適地になっている。ここから釈迦ヶ岳の麓を巻いて花盛りのムラサキヤシオを見ながら、深仙ノ宿経由太古ノ辻に到着。ここからは南奥駆に入る。昼食をとり一息入れる。


千丈平 深仙ノ宿分岐
ムラサキヤシオ 第38靡 深仙ノ宿

いよいよ未踏の地域に入る。太古ノ辻から岩場の蘇莫岳には仙人舞台があり石楠花の蕾が膨らみ赤く見える。


太古ノ辻 仙人舞台

 

 次の天狗山までは3つのアップダウンがあり苦しいが、笹も小さな姫笹に覆われて素晴らしい景色が続く。道標も世界遺産になってから立派な御影石になっている。天狗山の最後の登りがきつい。山頂は見晴らしよく小休止して展望をたのしむ。北に釈迦ヶ岳が南には笠拾山が見える。
天狗山の登り 天狗山 1536.8m
後中央左にお椀を伏せたような 笠拾山1257m 背景は釈迦ヶ岳1799.6m

 ぐんぐん下ると嫁越峠、さらに天狗の稽古場がある。前方に大きく立ちはだかる地蔵岳を見ると登りが苦しそうで事実大変に辛い登りであった。般若岳付近はシロヤシオ等の古木が多い。もう直ぐの花時は見事であろう。滝川辻を過ぎたピークで携帯docomoが可能だった。また帰り地蔵岳の登りでも。メールだけだが。
嫁越峠 天狗の稽古場
第26靡 地蔵岳1464m 第25靡 般若岳1328m

 乾光門(けんこうもん)又は剣光門は石碑があり拝み返しノ宿跡とも言われているそうだが、春先は明るいが、低地にあり木の葉が茂れば鬱蒼となろう。地図では笹ノ宿跡となっているところだろうか。

 涅槃岳の登りも大変にきつい。時間も16時半を回っていて予定では到着時間を過ぎていてあせる。周りの風景もそこそこに先へ急ぐ。

 この付近で石楠花が満開で見頃である。

 証誠無漏岳から尾根が中八人山方面と分かれていた。小さな赤いテープがそれを示していた。
 

 阿須迦利岳を過ぎると急な下りになり、間もなく青い屋根が見えてきた。やっと第22靡 持経ノ宿だ。

涅槃岳1375.9m 証誠無漏岳1301m
阿須迦利岳1251m 持経ノ宿

 建物の前にはテントが一張り、もう休んでいるようだ。恐る恐るドアを開ける。薄暗い中に2人の女性がシラフに潜っていた。遅くなったのを恐縮し挨拶する。リックを降ろし水場を教えて貰い、出かけて3Lを確保してくる。建物の外でガスを使い夕食をとる。幸いまだ明るくて良かった。7時半頃から寝始めたが寝付けない。用意したウイスキーの水割りを飲むとグッスリ寝られた。

 


25年5月14日(火) 晴  単独
コースタイム:持経ノ宿5:53〜6:21阿須迦利岳〜6:53証誠無漏岳〜7:38涅槃岳〜7:55笹ノ宿跡〜9:25地蔵岳〜9:07嫁越峠〜10:34天狗山〜11:15石楠花岳〜11:48太古ノ辻12:30〜12:45大日岳13:12〜〜13:28深仙ノ宿13:40〜14:47釈迦ヶ岳15:00〜15:17千丈平〜17:09太尾登山口


 昨夜は寝つきが悪かったがグッスリ寝た。夜中に起きると満天の星座が見られた。
朝食をしていると、テントの方が出発の挨拶に見えた。今日は楊枝ノ宿まで行く予定というから凄く健脚だ。





 2人の今日コースは深仙ノ宿までという。桑名市から来られ白谷トンネル東口から登り、釈迦ヶ岳、大普賢岳経由和佐又に下る予定だそうだからタフな予定だ。次は私も白谷トンネル東口から登る予定である。
 2人にお先にを言い出発する。足が遅いから若い2人にどこかで追い抜かれるだろう。今日は昨日のコースを引き返しできれば釈迦ヶ岳に寄って帰りたい。

 般若岳を過ぎて小休止していると、2人が人相?の悪い犬に付きまとわられて追いついてきた。持経ノ宿を出発して間もなくついて来て、お茶も飲めない。引き継いでもらえるかというのを僕も犬は好きでもないし、顔に深い傷跡があり怖そうな犬だと思いながらも犬が勝手に付きまとい始めたので渋々了解した。犬相がよければ案内して貰っても良いかなと思っていたが。2人はお世話かけますがと出発した。



 可哀想だがストックを振り回し「帰りな」と追い返すが付いてくる。やむ無く小石を2、3個投げつけると引き返した。それからも何度か振り返ると付いて来なかった。ヤレヤレ。

 しばらく行き地蔵岳付近で2人が休んでいた。やっとお茶を飲めるようになったと何度も何度も感謝された。よほど嫌だったのだろう。夏みかん皮の砂糖漬けを頂く。激しい運動の後食べるのは疲労回復にとても良さそうで、レシピを教えてもらったが残念ながら殆ど忘れてしまった。
 
 お先にと出発して間もなく、かえでの大木の幹にヤシャビシャク(夜叉柄杓)を見つけた。希少種。ヤシャビシャクに出会えたらとても幸運と本に解説されている。普通のバカチョンではなかなかうまく撮れない。
 
ヤシャビシャク(夜叉柄杓) 右は拡大図

 新宮山彦グループが付けた山名板のある「石楠花岳」に寄って見る。奥駆道は下を巻いているので石楠花岳を通らない。標高は確かに合っているが石楠花の木がないのはやや不満だ。次いで進む尾根は石楠花ジャングルの様相を呈しているからなおさらだ。石楠花が多くても尾根だから山とは言えないだろう。やはりここに間違いないだろう。

 


 太古ノ辻で休んでいると2人が追いついてきた。共に昼ご飯。次の第35靡大日岳はパスの予定だったが登る事に。桑名山歩会の方と伺い、今日夕方2人が前鬼から登り深仙ノ宿で合流するそうだ。なかなか活発なグループだ。
 私は大日岳の鎖場を登ったことがあるからと言い先導すると、姿を見ていたのか変わりましょうかと。あれよあれよと見ている間に2人はスルスルと登るではないか。おっちらオジサンは途中でロープを出して貰う羽目になりました。鈴鹿の岩山で鍛えられているつわものでした。

 


大日岳を登る2人 大日岳から鞍部に深仙ノ宿と釈迦ヶ岳

 深仙ノ宿で別れて、第40靡釈迦ヶ岳に向かう。この道は下りに何回も使ったが、登りは初めて。疲れもあるがキツイ、キツイ。千丈平の隠し水のところに山復を巻いて登り頂上を目指す方が楽で時間もさほど変わらないのではないだろうか。
 そしてこの短い笹だが笹ブッシュと倒木(ちょっとオーバーに記しましたが。)南奥駆道を長年整備してきた新宮山彦グループならきれいに刈り取るだろう。今更ながら新宮山彦グループに感謝したい。大峰奥駆道が世界遺産になったのもこの新宮山彦グループの活動がなければならなかったかも。

 いつも賑わう釈迦ヶ岳も誰もいなく、鹿が3頭遊んでいた。
 



お釈迦様の台座を担ぎ上げた強力はこちらにもいたよ。お釈迦様の台座に名を刻む鬼マサ岡田雅行氏。
釈迦に登られたら是非確認してほしいね。
新田次郎の出世作「強力伝」、白馬岳の方向支持盤(皆んなこの前で記念撮影しますね。)を担ぎ上げた強力、小宮山正氏の話。以下に「奈良県メールマガジン」を転写します。

18.3.30金時山に登りましたが、この時金時茶屋の主人金時娘に会ったが、なんとこの方こそ小宮山正の娘の小宮山妙子さんでした。



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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     ┃ ┃    知られざる奈良の魅力を語る“   ”/今回は「釈迦ケ岳に釈迦如来像を担ぎ上げた“鬼マサ”」の巻  『世界遺産登録記念フェスタ2005』を開催中の吉野大峯。世界遺産・吉野大峯のホームページ  http://www.nanwa.or.jp/sekaiisan/other_pages/root/hiking.html では、登山&ハイキングコースをいろいろ紹介しているので、秋の行楽の参考にしてほしいものだね。  そんななか、今回紹介したいのは、仏教の開祖・釈迦の名をつけた名峰「釈迦ケ岳(しゃかがたけ)」(1,799m)へ登る〈旭登山口道往復コース〉。十津川村からだと意外にラクに登れるので初級者にもおすすめなんだ。

続日本百名山にも数えられる釈迦ケ岳は美しく、山頂からは大峰山脈が一望できるのもうれしい。さらに山頂では釈迦如来の大ブロンズ像(台座を含めての高さは3.6m)があなたを迎えてくれるんだ。この像を“鬼マサ”と呼ばれた強力(ごうりき)、岡田雅行(おかだまさゆき/1886〜1970年)が一人で担ぎ上げたというから驚きだね。強力とは登山者の荷物を担ぎ山案内する人のことをいうんだけど、鬼マサは、身長188センチ、体重約120キロ。役行者が大峯を開い  てから一番の強力とうたわれた人物なんだ。 鬼マサが釈迦如来像を担ぎ上げたのは大正13年(1924年)の夏のこと。当時は空輸するヘリコプターなんてなかった時代だから、山頂に上げるには力自慢の強力に頼るしかなかったんだね。ところが、釈迦如来像の寄進者は、加えて、釈迦ケ岳南隣の大日岳(1,593m)に大日如来坐像、釈迦ケ岳北方の岩峰・橡(トチ)の鼻に蔵王権現像の計3体の像を上げてほしいといったんだって。全重量は数百キロにも。

いくら分解して担ぎ上げるといっても、相当な仕事量。さらに危険をと もなう登山だけに、ほかの強力はすっかり尻込みしてしまった。さすがの鬼マサもすぐには首をタテにふらなかったらしい。「男と見込んで」との頼みに鬼マサも熟考の末、決断したという。このとき、鬼マサ38歳。心技体ともに強力としての絶頂を極めていた時期だったんだ。馬車で吉野郡下北山村の前鬼口(ぜんきぐち)まで運ばれ、そのあとは鬼マサに託された仏像と資材。鬼マサは、釈迦ケ岳まで約8キロの道の りを何度も往復してすべて運びきったという。いくら分解されていたとはいえ、釈迦像の台座は135キロあったというから、運ぶ鬼マサの形相はまさに鬼のようだっただろうね。
この偉業をたたえて、釈迦如来像の台座には「岡田雅行独力ニテ運搬セシ者也」と刻まれているんだ。

鬼マサは剛腕だけじゃなく、登山家としてもたいへんすぐれていたらしく、吉野熊野国立公園指定に生涯を捧げた岸田日出男を案内した際には、水補給の場所とアテにしていた川が干上がっていたけれど、それをものともせず、川床を素手で掘って、水を湧き出させたという逸話も残っている。 釈迦ケ岳に登り、鬼マサこと岡田雅行の偉業をぜひ目の当たりにしてほしいものだ。  そして、釈迦ケ岳登山の帰りには、近くの奥吉野発電所にも立ち寄りたいところ。上部の瀬戸ダム(石や岩石を主材料としてつくられたロックフィルダム)と下部の旭ダムの高度差530mを利用して発電。総出力は120万6千キロワットで、ほぼ奈良県全域の電気需要をまかなうことができるんだぞ! すごいね! ただ、いきなり行って見学することはできないから、見学希望日の1週間前までに予約をしてね。  奥吉野発電所見学予約 詳しくは  http://www.icee.gr.jp/sisetudb/prev.php?id=823  釈迦ケ岳、奥吉野発電所……ほかにも見どころはいっぱい。  秋の大峯はサイコーだよ。    @@@   @@@@@   @ ・ @  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━    ┃ ┃         奈良県からのつぶよりニュース   0   0  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━     ○<<<


遠くに霞む笠拾山を見ながら峠の登山口へ急いだ。



 

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