岩湧山


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sanpo.no.93
13年7月14日(土) 曇り一時雷雨。 気温30℃

岩湧山で雷に遭遇、「恐怖の雷体験記」
行者の道→いわわきの道→ダイトレ→岩湧山→急坂の道→四季彩館

 朝9時、第2駐車場に愛用のミニバイクで到着。すぐ前に見慣れた大阪ナンバーの車が停まっている。NクラブのメンバーのMさんのものだ。一緒に登ろうと思い携帯電話で呼びかけたが、山間部で通じない。

 駐車場の上のほうから「西原さん、西原さんではないですか」との呼び声。ふり返ると「シダ植物の辻井です」と云う。何度かメールの交流があり、リンクさせて頂いているが。突然、お目にかかれて驚いた。それにしても、あんな小さなHPの自己紹介の写真で、よく分かったものだ。
お互い、挨拶の後、辻井さんは「駐車場の下方に珍しいシダがあるので、見に行く」。私は、「トモエソウを見に行く」と告げ、別れる。

 行者の道の大きくなった草木を、用意した鎌で刈りながら進む。お目当てのトモエソウ、フジウツギが見られた。荒地に多いタケニグサが2〜3mに成長した。杉の倒木の上で小休止。四季彩館がよく見える場所である。

 いわわきの道の水場にある展望台にでた。サワグルミの大木が、上の方を覆う木陰の風通しのよいところ。 冷たい湧き水で喉を潤す。夫婦が登って来た。ベンチに座り雑談をする。

 いわわきの道を登る。ラッキーなことに、昨年7月15日に発見したシロテンマがまた咲いた。同じくダイトレのシャクジョウソウも去年と同じ場所で咲いた。どちらも葉緑素のない腐生植物、ちょっとした環境の変化で生えなくなる。これらの貴重な植物がずっと咲く環境であって欲しい。「この珍しい植物を見たか」と今朝方のMさんに電話。やっと通じたと思ったら東大阪の家まで帰っていた。

 紀見峠と岩湧寺の分岐で3名の登山者と出会った。雲行きがあやしくなってきた。遠くで雷の音がする。
急いで山頂に登った。単独の方が2人、休んでいた。若い1人は上半身裸でベンチに寝そべり、中年の1人は昼食中。私も愛妻弁当をひろげた。いつもは賑わう山頂が、私を含め3人。雷鳴と雷雲のせいだろう。

 雷鳴が遠いのと、上空は明るいためと、雲の流れより今のところ心配なさそうである。付近を歩きまわり草花を探す。オカトラノオやカワラナデシコが目立つ。

 金剛山方面が黒い雲に覆われて山がかすんできた。どうやらこちらに向かって来るようだ。谷の下方から雷の音がする。雷鳴が大きくなって来た。まずいと思いながら、先の2人と別れ急坂の道を、急いで下る。雨が降り出した。この時はまだ余裕があった。つづら折れの雑木帯のオオバノトンボソウを見に行く。少し咲きかけていた。カメラを出すところだが止め、急いで山道に戻る。
 雨が激しくなり、さらに雷鳴と光が強くなって来た。誰も通らず心細い。いつしか駆け足で下るようになった。目の前で光線が走ったとたん、バリバリとはらわたをえぐる雷鳴。持っている傘やカメラ、鎌などの金属が雷を寄せつけないか、心配で心配でたまらない。体は雨でずぶ濡れ。ちょっと大げさかもしれないが、避難するところもなく、ここで雷に打たれたら、運が悪いんだと観念した。こう考えるだけで少し気分が落になった。

 大山の大キレットの稜線で雷にあった秋、独身の頃を思い出した。あの夏、確か、北アルプスの西穂か焼岳で高校生が11人落雷で亡くなっていた時のことを。同じ年の秋、大山では友人3人と崖を下り、道に迷ったあげくに、麓の牧場に出たことがあったが。あの時も怖かった。

途中、岳沢を見下ろすテラスにあげられた賽銭を見つけたが、その時は何の気なしに通り過ぎた。後ほどガイドブックで、1968年に起きた松本深志高校生徒の落雷による遭難現場であったことを知る。そう言えば、西穂の稜線にはハシゴやクサリが見当らない。事故後、落雷の誘発を防ぐために不必要なものは撤去されたとも聞く(事実関係の確認はしていないが………)。確かに、ほかの山ならハシゴやクサリが連続してもよい地形ながら、この稜線には見当らない。必要な場所に安全のための補助装置の設置を否定しないが、今日の山は必要以上に人工的な構造物が多過ぎないだろうか http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/4318/nishiho.htm

当時、西穂の落雷事故にあった、赤羽典子さんの「週刊まつもと」寄稿文。 http://www.matsumoto.ne.jp/user/niimura/NEWS.htm

7月20日MSNでサーチした記事より。やはり私の記憶違いではなさそうである。

 ひっきりなしの雷鳴と光に豪雨。山道は小川のように、まっ黄色の泥流が駆け下る。こうして山道が荒れていくのだろうか。
30分ほど下り、ようやく急坂の道入口付近に到着。岩湧寺の屋根が見えてホットする。あわてて四季彩館に掛けこむ。

 四季彩館では14、5名が避難していた。その後も雷鳴と豪雨が続く。高校生ぐらいのグループ10名ぐらいが到着した。また別の3人のグループも到着した。みんな安堵の表情を浮かべた。
雷雲は1時間30分ぐらいで通過したが、1番ひどい雷雨の時に下山したようだ。今日は本当に生きた気持ちがしなかった。こんな低山で死ぬかと思った。高い山も低い山も関係なく雷には、早目の避難が必要だ。  

(メンバー:単独)




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