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山   名  京都北山小野村割岳 897m
    sanpo.no.737 20年5月12日(水)晴れ 気温18℃ メンバー 5
コース 京都九条5:00〜6:30京大演習林事務所7:20〜7:50灰野〜9:05カヅラ小屋跡9:13〜カヅラ谷〜12:25 951P 13:07〜13:31小野村割岳〜15:04灰野出合〜15:38芦生古道〜16:50京大演習林事務所


芦生の素晴らしい原生林を満喫 

ルート図

 前日、こまねずみさんの京都の別荘に泊めて貰う。前夜祭でお手料理など頂く。朝4時に起床、5時に出発。きれいな国道162号線を高速道並に走り、京大演習林事務所に6時30分到着。思ったより30分も早い。朝食をすませて、仮入山届けを出す。レンゲツツジが咲く宿泊棟の間を行くと1人の女子中学生が登校するのに出会う。こんな奥地に民家があったかなと思っていたらほどなく民家があった。民家はここの京大演習林の世話をしているのであろうか1軒だけである。 由良川を渡るとトロッコ道の廃道が出てくる。芦生古道の登り口はこの辺だろうか。山の上を見上げる。

赤いポストに仮入山届けを出す




灰野に着く 灰野の歴史の古い看板がある
 川の水量は一昨日の大雨にもかかわらず少ない。水量により途中まで行けるところまで行こうと話していたが、この分だと行けそうで期待できそう。来る前にホームぺージで下調べをしたが殆んどこのコースの記録がない。また京都バスの1998年の古い案内書にはこのコースは経験者の同行必要となっている。やっと2003年9月のホームぺージを見つけ古い記録を頼りに少し不安を感じながら出発したのである。トロッコ道は由良川の清流の上をくねくねと行く。崖にはイワウチワの花後が一面に広がる。最盛期に来れば楽しいだろう。やっと1輪見つけ、こまねずみさんの撮影タイム。道は谷間で日が差し込まずせっかくの若葉も映えない。盛んにピユーピユーと鹿の警戒音。 朝の気温は5度で寒いぐらいだが歩くに連れて温まる。灰野に着いたころは気温も上がりコンデションも上々。昨年も5月12日の同じ日、京都バスで広河原まで入り、灰野に着いたのは12時、カズラ谷周遊の思いを遂げず敗退している。今日はそのリベンジとして1年前から計画していたもの。そしてまた今年もサルメンエビネに会いたい。そんな気持ち込めて来て見たが、道は奥地に行くに従いかなり荒れて来る。トロッコ道の鉄橋は各所で寸断し傾いている。

 赤崎小屋跡を過ぎて、赤崎谷をショートカットした道になる。小ヨモギ小屋跡前の林はシラカバ林を思わせ新緑が清々しい。
 更に奥へ進むと傾いたトロッコ鉄橋は通行止めになっていて迂回路もない。下は5〜6mの崖、たけやんはとうとう四つんばいになり渡り始める。無事に渡るのを確認しそれぞれ四つんばいで続く。木の梯子の上を足の脛で歩くから脛が猛烈に痛い。その上左に傾斜し前に下がっているのでリックが傾き必死で怖い思いをした。15m程の区間だったが凄く長く感じられた。後で振り返ればここが一番の難所だったと思う。
 刑部谷を過ぎると10分ほどでカヅラ小屋跡だった。小屋は倒壊して古い材木が野積されていた。このカヅラ小屋跡から由良川本流と分かれてカヅラ谷となる。ワダリーダーが以前ここまで来ているという。いよいよ未知の世界で多少の不安がよぎる。

左が由良川本流、右がカヅラ谷
崩れたトロッコ道の下を潜り、飛び石を踏んで流を右に左に渡渉する。
 ストックを出し歩行も安定する。途中から私も含め3人は沢靴に履き替えた。沢靴組は楽勝であるが履いていた靴の荷物が増えた。
 谷が険しくなるに連れて歩行は苦しくなるが、素晴らしい景観にしばしばカメラタイム。来た甲斐があったと心の中でつぶやく。
 トップを行くたけやんが滑って靴やお尻まで濡らした。それまで慎重にゆっくり進んでいたが急にスピードを上げだした。一度濡れたらもう濡れるのは気にならないのだろう。
 沢登のゲロク谷分岐はいつの間にか過ぎていた。気がついたら標高494mの植橋谷分岐だった。足元にはバイカオーレンの花後がたくさん見られた。小野村割岳の分岐らしいところに着いた。小野村割岳へ直登するルートである。たくさんの滝を巻いて直登するのを避けて、本流から951mのピークを回るコースを選んだ。こちらの方が長いが緩やかだろうから安全だろう、カツラの大木も見たい気持ちがあったから。一方では滝を見たい気持ちもあるが・・・。だが本流コース、いきなり滝の高巻きになりズルズル滑る草付きの斜面を這い登る。踏み跡もないところだが古いテープが見つかる。

写真の右が小野村割岳へ直登するルート
 今度は上を高巻きするか、泥の崖を川に戻るかのところとなった。トラロープを出して前後確保し掴まりながら斜面を渡る。ズルズル滑る斜面を慎重に川まで下りホッとしたが、先が思いやられる。この分なら小野村割岳に直登するルートを選んだ方がよかったかも。だが、難所はここだけだった。
奥地へは緩やかな登りの渡渉を繰り返すに従い、芦生の原生林の素晴らしい光景が続き、まるでトトロの世界だ。



木が何本も株立ちする特徴のカツラの巨木が次々に現れ、しばしば休息する。今、一番の見所に立っている。



カツラの巨木が多い谷、なまってカヅラ谷となったと言う。



 バイケイソウによく似た葉を持つサルメンエビネがあちこちに見つかる。今年も会えてよかった。

マムシ草の仲間のアシュウテンナンショウやエンレイソウ、オオカメノキ等の花も見られた。
 流れは次第に細くなり谷が幾つも分岐するが本流を行く。ところどころ古い古い色あせたテープがありなんとか確認できた。もちろん踏み跡はない。
ご機嫌な二人
最後の登りは急登で辛い。
 芦生杉の台杉が目の前に現れ尾根に達する。ピーク951mの小野村割岳よりの鞍部に着いた。ここまで来ると未知のコースも終わりホッとする。
芦生杉の台杉の下で早速いろりのバンダナショット

 昼飯は今朝方作ってくれた豆ごはんのお握り。カヅラ谷遡行達成の満足感で、お握りは格別美味しかった。
 尾根を小野村割岳に向かう。テープに従い道がドンドン下るルートに入るアクシデントもあったが、ワダちゃんの機転で修正できた。果たして下るルートは先ほど通過した、小野村割岳へ直登するルートだろうか。
 小野村割岳では神戸から来た2人に出会った。今日始めての登山者だ。例の郵便受けの前でいろりのバンダナショットでシャッターを押して貰った。
小野村割岳山頂
 小野村割岳からはところどころ出現する芦生杉の巨木に驚嘆する。アップダウンの多い縦走で疲れた足にはちょっとした登りも辛い。



 雷に打たれて中が焼け空洞になった芦生杉。それでも皮一枚で元気に青々と繁り、生命力の強さに驚嘆するばかりだ。


佐々里峠から灰野出合に着き、方向を南にとり灰野に向かう。
大段谷山分岐から5分ぐらいで芦生古道に入る。
復活した芦生古道も歩く人は今では少なく廃道のようである。
 この道も踏み跡がなくて荒れている。ホームページで見た平安高校の山岳部が付けた古い黄色のテープが現れた。広い尾根の下りは慎重にテープを探す。枯れ木が倒れて古色蒼然とした尾根。
 標高550m当たりで進路を北西から北東に下るはず。地図でセットした磁石で確かめて行くと、何本もテープが巻かれた木が見つかる。
 ここから方向を京大演習林事務所に向けて一直線に下った。急な下りで踏み跡もない。ただひたすら下へ下へと下ると今朝方のトロッコ道の廃道に出た。

不安と期待の9時間30分の長帳場で疲れたが、芦生の素晴らしい原生林を満喫できて本当によかった。この素晴らしい自然がいつまでも存在することを願わずにはいられない。
その他の見たもの
ワチガイソウ ニリンソウ
ヤマツツジ エンレイソウ
真新しい熊の糞 鹿の骨
葉だけ見るとバイケイソウと間違いそうなサルメンエビネ コウヤノマンネンゴケ



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