南アルプス 甲斐駒ケ岳 2967m |
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sanpo.no.657 19年8月22日(木)〜23日(木) 晴れ、雨、晴れ 気温10〜20℃ メンバー5名 |
[ 黒戸尾根から甲斐駒ケ岳へ ]
コースタイム:22日 竹宇駒ケ岳神社7:00〜10:04横手〜12:25刀利天狗〜13:35 5合目〜15:00七丈小屋 23日 七丈小屋5:47〜6:46来光場〜8:50東峰〜9:20摩利支天〜9:46東峰〜10:00甲斐駒ケ岳〜11:19直登ルートと一般ルートに合流〜12:20駒津峰12:54〜13:52仙水峠14:30〜16:20長衛荘 |
黒戸尾根は甲斐駒ケ岳から北に派生する尾根で、日本で三大尾根の一つとされる長い尾根である。去年の剱岳〜早月尾根の後、「甲斐駒に登るなら黒戸尾根」ということになった。 前日の夜行バスで小渕沢まで来て、ここからタクシー(4950円)で登山口の尾白川渓谷駐車場へ。この駐車場は広くトイレがある、売店は早朝で開いていない。近くにキャンプ場がある。 また駐車場の一角に皇太子様が平成2年に来られた碑が立つ。ここから黒戸尾根を登られ、七丈小屋でお泊まり、甲斐駒ケ岳から駒津峰、栗沢山を経て北沢峠で長衛荘でお泊りし、翌日に仙丈ケ岳に登られて帰京されている。我々の計画も偶然同じコース+アサヨ峰に同じ小屋である。 |
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尾白川渓谷駐車場 |
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竹宇駒ケ岳神社 キャンプ場の横から竹宇駒ケ岳神社脇で水を補給、 |
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尾白川にかかる吊り橋を渡る。 | ||
尾白川渓谷道と分かれて十二曲がりと言われる急坂を登ると、咲き残りのタマアジサイやモミジハグマが迎えてくれる。15℃前後と寒いくらいながらも汗が噴出し、一汗かいて体も軽くなる。木々の間からは地頭岳の特徴のある姿のオベリスクことオベちゃんが見え始める。 | ||
横手 日向山の分岐を過ぎて、 黒戸尾根のもう一つの登山口、横手駒ケ岳神社からの道に合流する。小学5年生の子供を連れた父子が休んでいたので追い抜く。 |
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笹原の揺るかやなアップダウンが続く。道端のお地頭さんに登山安全祈願する。 | ||
大峰の山に似たトウヒの森にはコケも多く、珍しいシャクジョウソウも見られた。 | ||
刃渡り 八丁登りといわれる長い急登を過ぎて、路岩の割れ目を登るころは、鎖もある刃渡りというところだろうか鳳凰三山などの展望もよく気分もグッと明るくなる。ホツツジが薄いピンクの花をつけている。 |
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刃利天狗 刃渡りから一旦下り深い樹林帯になる。やがて鎖場や梯子を登り「黒砥山刃利天狗」の碑が立つ刃利天狗に着く。この山は信仰の山で石碑・石仏が多い。 |
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5合目小屋跡 大きく右に黒戸山山腹を巻いて、崖道を下ると5合目小屋跡に達する。大岩に登山道を切り開き5合目小屋開祖の、嘉平次のプレートがはめ込まれているが古くて所々読み取れない。この小屋跡の回りには往時を偲ぶかのように、黄色いキオンやソバナなどの花が咲き乱れて辺りを飾る。 |
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道は一旦鞍部まで下り、前方に立ちはざかる6合目の高い崖山に向かう。屏風岩でここにも古い鉄剣が岩に刺さる祠。石碑・石仏が多い。 | ||
岩場が連続、梯子や鎖を伝い攀じ登る。 | ||
苦しい修行が続く | ||
岩場に咲く可憐なタカネビランジ | ||
黒戸尾根は江戸時代山岳信仰の道として作られました。 また祠がある |
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登り終えて鞍部に下ると今日の泊まりの七丈小屋に着く。 小屋の番は1人で切り盛りしているが清潔、こじんまりとしていた。今日の泊まりは我々5人だけのようだ。宿泊手続きをする。熱いお湯がストーブの上に沸かしており自由に使うようにと。外の水は山から引いており流れ放し、豊富で冷たい。朝食は6時。朝が早いので抜きにし弁当を頼むがやっていないというから、手持ちの食料で間に合わすことに。4時になると「夕食注文終了しました」と看板が出る。4時までに着かないと夕食にありつけない。小屋の予約は受付していないから注意。テント泊の1人が手続きに。 |
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小屋横の高台のベンチで乾杯する。 テント泊の人に集合写真を撮ってもらう。 |
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遠くに鳳凰三山のオベちゃんが手を振っているようで、その脇に雲に隠れた富士山の山腹が見え始めた。 しばらく待つが今日は富士山にはお目にかかれないようだ。 | ||
寒いので小屋に入り過ごす。6時からの夕食。美味しいご飯だった。小屋の主は50代だろうか、あまり話さない。しもうた、土産を忘れてもうた。皇太子さまがお泊りになった宿である。
天気予報の時間だけテレビをかけてくれた。先に追い抜いた父子が着いた。12時間かかってよく来たものだ。千葉の孫と同じ5年生だ。テントを担いでいたが降りだした雨を避けて小屋で素泊まりに変更したようだ。
今日、黒戸尾根を登ったのは我々と父子、テント泊の単独者。下る人には10人ぐらい出会った。 |
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七丈第2小屋 翌日は4時スタートのつもりが、昨夜からの雨が収まらない。おまけに風も強い。暗いうちは危険なので、明るくなってからスタートに。ラーメンやパン、コーヒーで朝食、夜明けを待つ。 5時45分、大分明るくなりスタート。依然として風雨が強い。七丈第2小屋からテント場を通り、梯子や鎖を掴み崖や岩の間を上る。 |
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霧に包まれて山並みは見えない。 |
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雷鳥 ハイマツやダケカンバが多くなる。 ふと前方に雷鳥が1匹、道案内のように前を行く。 何回もポーズをとってくれる |
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8合目ご来光場 雨は小降りに、やがて緩い台地の昔のご来光場に着く。古い石碑がある、ご来光の儀式が行われていた霊場であろうか。石碑の後ろに、これから登る隆々とした岩山が待ち構えて、登攀意欲が湧いてくる。 |
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8合目からは花崗岩の岩山で鎖、梯子が連続する。 | ||
こんなふうな岩場が続く | ||
八ケ岳 |
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雨が上がり、霧が晴れだし山並みが雲に浮かぶ。 雨も霧もあがり気分爽快な仲間達 |
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3本の剣が突き刺さった3本剣を過ぎて東峰までが、この尾根最高の見せ場。 谷底には今朝出発した小屋が小さく見え、彼方には鳳凰三山のオベちゃんと背後には薄く富士山がそびえる。 剣は不動明王を表す山岳信仰の名残。 |
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またまた厳しい修行 | ||
横手駒ケ岳神社の奥宮 足元は両方が切れたった尾根を通過して、刀剣・石仏の多い東峰に達する。 ここには横手駒ケ岳神社の奥宮の石碑が立つ。 |
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奥宮 | ||
右端 甲斐駒ケ岳 | ||
摩利支天 ここからは一登りで北沢峠からの道に合流する。合流点にリックをデポして、北沢峠に行く途中から分かれる摩利支天へ向かう。摩利支天は殆どの人は素通りするが是非立ち寄りたい。 |
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摩利支天へ 道しるべは特にない。目の前方下に摩利支天が認められるが、真っ直ぐ行くと深い深い崖に突き当たる。Nリーダーについてガレ場を右に大きく迂回しながら下る。 |
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摩利支天 再び巨岩を縫うようにし、ガレた砂地を左に登り、尾根に達してそのまま岩山を登ると刀剣がたくさん刺さった摩利支天に着く。再び降り始めた雨と風に、記念写真の後、早々に引き上げる。この間約1時間。 |
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甲斐駒ケ岳山頂に立つ 長い間登りたいとの思っていたから、感激もひとしお。 先ほどの北沢峠からの道でリックを拾い、5分ほどで1等3角点の甲斐駒ケ岳に立つ。祠には草鞋がたくさん攣っている。 |
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甲斐駒ケ岳山頂 ここからの眺望は抜群。 |
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甲斐駒ケ岳山頂からの展望 東北には黒戸尾根が延々と続き、南東には鳳凰三山、富士山、南には北岳、間ノ岳がそびえる。 |
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甲斐駒ケ岳山頂からの展望 南西には明日登る仙丈ケ岳 |
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これから下る駒津峰へは直下りルートをとる。ここが一番怖かった。 直下りルートはなかなかの難所。 |
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標識も分からずやや左よりにとったが崖地で引き返しす。 上には一抱えもある岩に手を掛けるとグラグラ、落石におびえながらの下り。 |
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直登りルートが下方に見えたでハイマツの藪を漕ぎ、直下りルートに乗る | ||
3mほどの岩にも鎖や梯子もない。リックを先に降ろして空身で下る。 | ||
長い岩場の下りの末、直登ルートと一般ルートに合流し、ホッする。 赤いペンキマークが真っ直ぐが上級者の直ルート、右が巻き道の一般ルート |
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後ろを振り返れば岩石の隆々とした摩利支天を従えた甲斐駒ケ岳が立つ。 |
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甲斐駒ケ岳と駒津峰の鞍部 駒津峰までは小規模な岩山が連続する。野生のブルーベリーの実を食べる。ラーメンとパンとレトルト米の昼食。 |
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駒津峰 2750m | ||
仙水峠から見上げると右に摩利支天と左に甲斐駒ケ岳が迫ってくる 仙水峠までは1時間ほどの激下り。岩のゴロゴロしたゴーロの仙水峠は駒津峰と栗沢山の鞍部。ケルンがたくさん立っていた。 ここから北沢峠で長衛荘まで1時間ほど。スタートが遅かったので栗沢山とアサヨ峰は諦める。そうと決まればゆっくりと大休止し、コーヒータイム。 |
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仙水峠を後に振り返る 火山岩のような大量のゴーロの谷を下り、 |
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仙水小屋前で美味しい水を飲んで | ||
ソバナ、ダイモンジソウなどの花を愛でながらゆっくりと下る。北沢長衛小屋の前のヤナギランや岩にはめ込まれた長衛のプレートを見て | ||
今日の宿、皇太子さまも泊まった長衛荘に着く。 | ||
今日見た高山植物
タマアジサイ | シャクジョウソウ | |
オクモミジハグマ | ホツツジ | |
ハンゴンソウ | ホソバノヤマハハコ | |
キンレイカ | ミヤマダモンジソウ | |
○ママコナ | ブルーベリー | |
ソバナ | ヤマホタルブクロ | |
ヤナギラン | タカネビランジ | |
キソチドリ | トウヤクリンドウ |