北ア 立山 〜  剱岳2999m その2   その1へ
sanpo.no.497  18年8月22日(火) 曇り後雨 気温15℃ メンバー6

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コース:剱沢5:30→6:05剣山荘→6:34一服剱→7:38前剱→平蔵のコル→カニのタテバイ→10:00剱岳10:40→早月尾根→カニのハサミ→14:20早月小屋14:47→19:20馬場島



 昨夜、就寝は21時頃だっただろうか。宴会をしていると雨になって慌ててテントに潜り込んだ。0時ごろ目が覚めてトイレへ。期待の星空は見えず。朝方雨が降り起床の3時頃には上がっていた。食欲がないがご飯を少し食べ、コーヒーを貰ったのですっきりした。湯を沸かし冷まして1Lの水をリックに詰め込んだ。今日の天気は午後は悪く50%、急がねば。昨夜の雨で濡れた重いテントを仕舞い込む。夜が明けてこれから登る剱の山はガスの上に浮かび、不安と期待が交差する。

剱の右尾根「八ツ峰」
剱岳に向かい剣沢を行く。


 大雪で倒壊した剣山荘までは下りがあって、雪渓を渡り尾根を巻く。クルマユリやハクサンフウロ、ヨツバシオガマ、ミヤマトリカブトのお花畑が美しい。剣山荘は来シーズンに備えて建替え中。剣山荘からは軽い登り、岩場で花も少なくなる。サブザックの軽装備の登山者が次々追い着いてきて道を譲る。自慢じゃないけど我が中高年グループ(最高年齢70歳、平均年齢65歳)のように大きなリックを担いだ人は見かけなかったな。小屋泊まりでも10kまでだろう。少し優越感を感じながら、よろよろと登る。
一服剱より前剱

一服剱の前方には前剱が堂々たる迫力でそびえ、登山者が蟻のように取り付く。

 一旦武蔵のコルまで下り息を整える。ここからは険しい岩稜地でところどころ鎖やペンキ印の指導標がついている。この前剱の頂上直前で血痕の後が点々とし、大きな血の塊が。21日遭難したという方のものだろうか。身が引き締まる思いがしますます緊張する。



落石に気をつけながら前剱のピークに立つ。全員で記念撮影、他の登山者に撮ってもらう。



 前剱を過ぎると一旦鎖場の急な下りとなる。リーダーの指示で1.8kの重いカメラをリックにしまう。崖の切り立った平蔵のコルの梯子を渡ると大きな岩場があり、岩に打ち込んだボルトに足をかけ体を引き上げる。リーダーが先行し、前の人の登るのを見、参考にして登るのである。ここは登り用と、岩の裏側の下り用に分かれている。


 この難所を過ぎると平坦部の岩の廊下になり、いよいよこのルート最難所、垂直に17mほどの登りがあるカニのタテバイである。直下のコルで一呼吸、次々来る後続者グループに道を譲る。岩場が空いたらいよいよ登攀開始。最初の一歩をボルトに掛け、次のボルトを捕まえて登るのである。前を行くY女も重いリックを担いで必死だ。グラッとしそうになったが、リーダーが上部から手を差伸べて指示し、ようやく最難所をクリアー、やっと緊張から解かれる。

カニのタテバイ カニのタテバイ
カニのタテバイ カニのタテバイ



 早月尾根分岐にリックをデポし、身軽になって剱山山頂に向かう。山頂には大勢の登山者がくつろいで展望を楽しむ。日本の山の中でも最難所といわれる剱岳に、リーダーの指導よく、15kの荷物を担いだ中高年が登ってしまった。緊張の連続で苦しいことも忘れ、登頂できた喜びと満足感に溢れながら、代わる代わる記念写真を撮る。これは冗談だが、思い残すことはなし、この世とのお別れ用の写真と言うのできれいに撮ってやる。もちろん剱岳2999mの標識を抱えて。ついでに私のも。


 早月尾根分岐で昼飯にする。食欲がないという4人に、梅干4個ほどづつと黒砂糖の固まりを配る。糊で一固まりになったアルファー米を食う。小休止後いよいよ標高差2200mの激下りが待っていた。最初はカニのハサミという難所。断崖にボールトが打ち込まれている箇所。リーダーが「せりでた岩に触れリックを取られないように、リックに振られないように」と注意を与える。ここからは長い長い下りで重い荷物に堪える。高度2600m下の岩稜地帯を過ぎると高山植物もたくさん現れる。


カニのハサミ カニのハサミ


 高度2200mの早月小屋に着き大休止。ビールで乾杯。でも早すぎたようである。これからも延々と続く下りにうんざり、途中から雨も降り始めカッパを着込む。水切れにもなった。リーダーが笠で雨を受けている。笹の葉の水滴を吸う。まだ2時間はかかるだろう。しまったと思ったのは展望台近くの登りでブルベリーの自生の実を食べたが、写真を撮らなかったこと。早月小屋の主人が窓からいつまでも手を振ってくれたこと。早月小屋の主は今年、名物親父の伝蔵さんから謙一さんに替わっていたそうだ。もう少し話をしたらよかった。
早月小屋


縄文杉のような古木が多い。



 
 リーダーが遅れ始めたAさんにつき、我々4人は先行した。あと馬場島まで1kという表示に気を取り直したが、山の1kは遠い遠い。辺りが暗くなりヘッドランプを取り出す。登山者チェックカウンターを過ぎて、ようやく馬場島の公園になり暗いコンクリートの道を行くと2階に明かりの着いた建物が見え始めた。

 時間は19時20分。薄暗い留守の玄関を開き管理人に水を頼むおばさん達。こんな時は女性がいい。間もなく玄関に明かりがついて食堂で休憩させてもらった。青少年宿泊センターだった。水を腹一杯飲み電話する。立山から馬場島への回送車が来ていない。明日の予約となっているらしい。会社の人が帰ってしまって1人だけという。がこの会社の方は親切だった。仲間を呼び寄せ何とかするので1時間ほど待って欲しいという。この間、2本のペットボトルに水を詰め、T女と2人でリーダーとフラフラになったAさんを迎えに行く。遠くにヘッドランプの明かりが見えホットした。我々が到着して約1時間後だった。


 青少年宿泊センターでビールを飲んで待つ、会社の車が到着した。親切にも車で40分の旅館の「いとや」まで運んでくれた。 だがまたハプニングが。旅館が隣の「大岩荘」に代わっていた。お上が病気というが団体が入ったようだ。こちらの方が立派だった。食事が先と言われたが風呂を先にお願いし、22時30分遅い遅い夕食で乾杯、今回の山行を閉めくくった。Nリーダーの助言で念願の剱岳に登れて大満足、今でも感激の余韻に浸っている。今日は2日分も歩いて皆さん達者ですね。どうもお疲れ様でした。
帰途は五箇山や白川村の合掌集落を見て帰った。Oさんは合掌集落は初めてといい、今時珍しいことだとNさん。 

剱岳の高山植物

 他にはゴゼンタチバナ、マイズルソウ、ニッコウキスゲ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマホツツジ、タマガワホトトギス等が咲いていました。名前の間違い等ありましたらご教授下さい。

ツガザクラ アオノツガザクラ エゾシオガマ
ハクサンフウロ ヒメイワカガミ シロウマオミナエシ
イワギキョウ カニコウモリ キンコウカ
キヌガサソウ クモマグサ クロヒトウレン
クロクモソウ クルマユリ ミネウスユキソウ
イワイチョウ ミヤマアキノキリンソウ ミヤマダイモンジソウ
ミヤマキンバイ ミヤマトリカブト ミヤマツボスミレ
モミジカラマツ シナノオトギリ タカネマツムシソウ
タテヤマリンドウ チングルマ トウヤクリンドウ
ウサギキク ヤマハハコ ヨツバシオガマ







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