玉置山〜熊野本宮大社 1076m     

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sanpo.no.454   18年5月6日〜7日 (土〜日)晴れ〜雨 気温20℃   メンバー3  
コース:第1日目 JR五条10:27→13:30バス・十津川温泉→14:25タクシー・玉置山→15:50宝冠ノ森→16:50玉置山→17:30玉置神社    第2日目 玉置神社5:25→5:43本宮辻→6:40旧篠尾辻→7:20大森山→7:55篠尾辻→8:40五大尊岳→10:10六道ノ辻→10:30大黒天神岳→11:45山在峠→12:15吹越峠→13:15七越13:25→14:15備崎橋→14:35熊野本宮大社


 大峰奥駆道は最終のコース、玉置山〜熊野本宮大社に向かった。と言っても私は初めての縦走で、あとの2人はここのコースを残すのみのようだ。
 玉置山にはJR五条から十津川温泉までバスを利用した。3時間弱のバスの道中でハンガリーから来た一人旅の少女と片言の日本語で話した。これから新宮まで行き友人と落ち合うそうだ。バスは途中の谷瀬ノ釣橋で20分の休憩をした。釣橋は渡らないように注意された。連休で行楽客でごった返し釣橋は一方通行になっていたので戻る時間がないためである。十津川温泉からタクシーを飛ばして玉置山展望台まで来た。
 タクシーの乗務員さんは釈迦ケ岳と中八人山の見えるスポットに寄って説明してくれた。
また展望台で記念撮影して貰った。展望台から北に奥駆の地蔵岳、槍ケ岳、笠捨山が展望でき、何時かは行って見たいと思う。(写真 右奥に薄く釈迦ケ岳と左のピラミッド型の中八人山)



宝冠ノ森の行場

 展望台から進路を東にとり宝冠ノ森に向かった。途中でリックをデポした。始めは緩やかな尾根だったが、急な岩の鎖場が表れ恐る恐る下ると、また岩場の急な登りになり2〜3度繰り返して最後の宝冠ノ森に到着した。ここは行者さんが勤行される場所と聞く。崖にはコバノミツバツツジが咲いてあたりを飾る。ちょっと雰囲気の違うツツジが目に着く。花びらが大きく先が割れている薄紅色のツツジ、アケボノツツジ(別名:ベニヤシオ)だった。草花ではテリハキンバイ、セントウソウ、フモトスミレが見られた。宝冠ノ森から南は深く落ち込んでいて、高い山もなく見晴らしがよい。



        アケボノツツジ(別名:ベニヤシオ)



 宝冠ノ森を後に元来た道を引き返し、玉置山山頂に到着した。山頂は緩やかな丘陵で周りは笹が多い場所だ。晴れていれば熊野灘が見渡せそうだが曇り空でそうは行かない。古びた釣鐘と沖見地蔵尊が祀られていた。玉置山の別名が沖見岳というのも頷けた。

玉置山山頂1076.4m


 玉置山から大木の杉林の急な下りとなり、昼間運転手さんに教えてもらった勤行の場、玉石社にお参りした。玉石社は日本で一番古い神社ではないかといわれている。




 更に下ると老木に覆われた神秘的な玉置神社に到着した。樹齢千年以上の杉の森に圧倒される。そういえば玉置神社は2050年前に出来たというから古いはずだ。神社の方は全部なんという服装なのか、白い服を着ておられた。山小屋でも旅館でもなく修行する人だけが泊まれるところ。私達は熊野本宮大社まで山行するから泊めてもらえたようで、登山者は泊めてもらえるようである。一般はお断りなのである。 明日のスタートの道を確認後境内を散策した。大森山への道標があった。この道標が後で重要なものであることを思い知ることとなる。翌朝先立ちした同宿の単独行の1人が随分してから追付いて来たのだ。もう一人は熊野本宮大社についてから2時間もしてからだった。逆方向の西へ進んで宝冠ノ森の方へ進んでいた。HPでも宝冠ノ森まで行って1時間半もロスしたとの記事を見たことがある。

玉置神社・社務所、台所は国の重要文化財 玉置神社
神代杉 樹齢3000年 高さ28m

 

 

 明日の天気予報が100%雨で、3人の意見が分かれていた。Tさんは心臓にペースメーカーを入れているから雨の山行は止める。私も雨中の10時間はきついので止めたい方向。同宿者の大阪から来た若者は、4泊5日で吉野から来ており、ずっと天気の恵まれていたので1日ぐらい雨は覚悟の上。東京からの年配者は前鬼から2泊3日で来ており雨は覚悟の上である。ここでタクシーで玉置山入りした軟弱な登山者とも言えず、明日は決行することとなった。Tさんは2時間ほど早く達つ予定で、我々は夜明けの5時スタートで行く事に。

 早朝にもかかわらず暖かい味噌汁とご飯を頂いた。Tさんは既に出発していた。お上さんは私等と同年輩だろうか。Tさんが3時に朝ご飯というと「エッ」と一言いったが快く応じてくれたようである。大阪の若者は素泊まりだったが、ご飯が余っているからと弁当を作って貰い大いに感激して出発した。外は雨が本降り、雨具をつけ、リックカバーをして薄暗い中、神社に一礼をしてスタートした。境内で一匹のヒキガエルが追いかけてきた。





 

 大森山への道標を過ぎて、杉木立の坂道をドンドン下る。犬吠檜を過ぎて車道に出た。本宮辻または玉置辻のようだ。道標に従いここは直ぐに山道に、旧笹尾辻経由し大森山への登りとなる。




 先行者に挨拶し追い抜く。「アレ」見覚えのあるピッケルだ。先立ちしていたTさんだった。もうこんな場所で追いついてしまった。先ほど通過した犬吠檜に登って道迷いをし1時間ほどロスをしたようだ。とにかくTさんにお先に歩行を続けた。しばらくして先立ちした大阪の若者が追付いてきた。こちらもスタートから道迷いし宝冠ノ森の方向に行ってきたようだ。旧笹尾辻からは大平多山へは片道20分だが雨天であり取り止める。




 ここからまた苦しい登りがあってようやく大森山山頂に到着。Tさんに携帯電話。順調に来ているようである。汗でカッパの中もビショビショである。

大森山山頂1078m
大森山山頂三角点のあるところ1044.9m
 しばらくなだらかな山道、またしてもヒキガエルが現れた。写してくれるようポーズをとっているのである。
10分ほどして三角点のある大森山・大水ノ森に到着した。



 ここから急な坂道を30分ほど下り笹尾辻らしきところに着いた。先ほどの旧笹尾辻も表示がなかったが、地名の欲しいところ。



 五大尊岳までは厳しい岩尾根の登りであった。暗い山中に鮮やかな紅色のシャクナゲにホッとする。

 


 五大尊岳のピークも2つあり行者の勤行の場。Tさんに携帯。4本立っているが通じない。あたりにアケボノツツジの花びらが落ち、見上げると他にもたくさん雨に打たれていた。雨の中緩やかな木陰で立ち食した。玉置山のお上さんが作ってくれた大きなめはりずしが3つあり、2つ食べた。  五大尊岳からは標高差300mほどの急な下りが続く。雨で滑りやすくロープが欲しいところが随所にある。岩の端や小木を掴んで注意深く下る。後で聞くとTさんはここで転んで一回転したようである。真っ直ぐ行くと関電道の分岐だが、左にとる。
五大尊岳 825m



 まもなく六道ノ辻のある金剛多和の宿跡に到着。石室の中に役ノ行者が祀ってある。六道ノ辻からは上切原から本宮へ抜ける山道がある。


緩やかな登りの道となり分岐を左に登ると大黒天神岳である。NHKの中継基地があったようだ。

大黒天神岳573.8m

 ここからはモチツツジの花の道で緩やかな下りである。谷の方はガスがかかり幻想的。鉄塔のある付近は伐採され見晴らしがよい。霧の下に薄く熊野川の流れが見え出した。足元にはタツナミソウやヒメハギが咲きカメラタイム。嬉しいことにキンランもあちこちに咲き始めていた。雷が遠くで聞こえた。Tさんが心配であるが何度携帯するも通じない。


モチツツジの花の道 シャクナゲ
幻想的な雲海 ギンリョウソウ
ヒメハギ キンラン
コバノタツナミ モチツツジ


 

 次ぎの宝篋印塔の下は舗装路になって縦走路を横切る。山在峠だろう。
 間もなく吹越宿跡に着き、本宮大社まで2手に道が分かれたいた。下向橋から本宮大社に向かうルートはとらず、七越峰からのルートをとる。展望台のある芝生の広場に着く。ここまで雨を遮るものはなく、トイレで雨宿りし残りのメハリズシを食べる。きれいなトイレだが、こんな場所で食事をしたのは始めてだった。
吹越宿跡





 広場の下方向へ進み突き当たりで道は分岐する。七越峰を経由し本宮に入る道と、本宮近道と書かれた道。近道を選んだ。ひどい崖の道で木の橋は腐り、踏み抜きそうであった。藪のある川の堤防に出た。堤防には急な階段があり、ロープがあった。川原に降りて地図を見たら川を渡渉するルートだった。渡渉するのは体を水で清めて本宮大社にお参りするためだろうか。しばらく進んだが川を渡れそうもなく引き返し、堤防から備崎橋を渡り本宮大社に14時30分到着した。
元の本宮大社にある大鳥居

 本宮大社前のみやげ物屋さんの軒下したでTさんを待った。雷鳴が激しくなり大雨になってきた。待つ間缶ビールや菓子を食べ、何度も携帯するが通じない。2時間ほど経ってリックを担いだ店先の人影を見、急いでその店先にかけつけたら玉置山の宿坊で一緒だった東京の人だった。大森山で追い越してきたと言う。でも東京の健脚の方がなんで今頃と聞いたら、道を3度も間違えたと言うではないか。始めは宝冠ノ森に向かったようだ。同宿の4人組みは玉置山から下山したと言う。

 待つ間あちこち動いたのでズボンがびしょ濡れになった。Tさんはビバークもする用意もしているがこの大雨では心配だ。しばらくするとまたリックを担いだ人が本宮大社に向かった。参拝の帰りに会ってTさんに会っていないか聞こうとして待ち構えていると、見覚えのある黄色の雨具に赤い帽子のTさんが到着した。ヤレヤレである。実に朝の4時から17時30分まで、雨中を歩いてきたものだ。「ゆっくり歩いて楽しまなけりゃ」と本人は悠然としていた。携帯は途中で雨に濡れて壊れたそうだ。雨中の修業の一日を終え、湯の峰温泉でゆったりと汗を流した。        

*進行方向の道標が多いが、現在地の表示が極めて少なく、地図との照合でなんとか推測した。
*玉置神社は熊野本宮大社の奥宮だけあって古色蒼然として、観光客が少なくより神秘的であった。
  帰ってから知ったが枕状溶岩を見たかった。いつもそうだがもっと予備知識を入れるべきだった。
  玉置神社のHP
*雨の歩行でリックの下の部分も靴の中ももびしょ濡れになった。沢屋さんのようにリックにゴミ袋を入れ、
  ゴミ袋の中に衣類など持ち物すべてを入れるべきだった。


 


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