花巡りの山  北ア/朝日岳・雪倉岳・白馬岳   
HOME

sanpo.no.269
16年7月22日〜24日 

第1日目 16年7月22日 晴れ
コース:北又小屋→イブリ山→朝日小屋
メンバー:3人

 前夜の夜行きたぐにで大阪を発ち、北陸線泊駅午前5時10分に到着。予約していたタクシーに乗り込み北又小屋へ。北又小屋で持参した弁当の朝食。昨日までの雨天があがり、朝靄が晴れだし「今日は天気がよくなるよ」と山小屋管理人のうれしい声に心もうきうきしながら、靴の紐を結び直しスパッツを着けて、いよいよ朝日小屋に向け出発。6時30分。

北俣小屋 エゾアジサイ ホツツジ

  北又ダムの下流の吊り橋を渡りイブリ山への登りとなる。最初の花はヤマアジサイではなく、ここではエゾアジサイにシモツケソウ、クルマバハグマや咲き始めたばかりのリョウブが朝露に濡れて迎えてくれる。足元にはイワウチワの葉がずっと続きアカモノの実が目に付く。ホツツジのつぼみが膨らんだ2合目940mで小休憩。Tさんが用意したカルピスを持参した水で薄めて頂く。Hさんから冷やしたパイナップルの缶詰を頂く、お2人とも大きく重い荷物は、この冷たい食物を入れてきたもので申し訳ないと思う。

 お馴染みのアクシバやイチヤクソウ、ツルアジサイが咲いている。オオイタドリの大きさに驚く。高さ3〜4m、葉の長さ30cm以上もある。 ガレ場にはヤマホタルブクロが点々と咲いている。大きなブナの大木が茂る道を登り4合目を過ぎ、5合目に達する。はるか下方には今朝方立ち寄った赤い北俣小屋やダムが見える。


ブナ平 サンカヨウの実 ツクバネソウ


 この辺はブナ平と言われる。出発時に挨拶した単独行のX氏が休んでいた。彼も今日から同じコースを行くそうである。5合目の水場は3〜4分のところにあり、きれいに山道は草刈されていた。ここの水場にコップを持ち立ち寄る。冷たい清水で乾いた喉を潤す。このあたりはちょっとしたお花畑。ズダヤクシュ、ミドリユキザサの花やツバメオモト、サンカヨウ、エンレイソウ、マイズルソウの果実があり、ブローベリーのように紫色に実ったサンカヨウの実を食べるが味は今一だった。


ハクサンオミナエシ キヌガサソウ マイズルソウ


 ブナ平を過ぎかなりの急登になる。6合目、標高1390mあたりから白樺坂になりダケカンバの木があらわれる。黄色の鮮やかなハクサンオミナエシが満開。オオバギボウシ、キヌガサソウ、マイズルソウ、カラマツソウ、ツルアリドウシの花を確認。


コイワカガミ オオサクラソウ オオサクラソウ


 7合目1500m付近では高山性のニガナ、ユキワリソウがある。8合目1600mを過ぎコイワカガミ、ミヤマツボスミレ、オオサクラソウ、キヌガサソウの花が見られた。9合目1720m午前11時10分を過ぎ
雪渓があるというTさんの声。道端に小さなどす黒い雪の塊、ついに真夏の雪に会え涼しく感じる。


ツガザクラ オオバキスミレ ノウゴイチゴ


 この辺は春の花と夏の花が混じって咲いていた。ツガザクラ、ミツバオウレン、オオバキスミレ、ショウジョウバカマ、サンカヨウ、ゴゼンタチバナが次々現れ写真やメモに忙しい。


イブリ山 ゴゼンタチバナ サンカヨウ


 10合目イブリ山1791mの山頂に11時30分到着。出発から5時間、地図の時間表より30分遅いが、われわれの足と撮影を考えると早い方だろう。。昼食場を暑い日差しを避けて小潅木の木陰に求める。腰を下ろす真横にもゴゼンタチバナや名も知らない野草が見かけられ気が気でない。
 

タマガワホトトギス クガイソウ シロバナクモマニガナ
崖を登る ソバナ ツマトリソウ


 昼食休憩後12時再び朝日岳に向かいスタートする。ここまで来ると楽なものだと思っていたがそうではないことを後で思い知らされる。ゴゼンタチバナが道案内のように続き道は下り道となり、モリアオガエル生息地と記された場所を通過する。道は登り下り、谷渡りやせ尾根となりクサリ場が現れる。その都度リーダーのTさんがこの岩がすべるよと注意を与え慎重に通過する。タマガワホトトギス、バイケイソウ、シロバナニガナが現れる。足取りがそろそろ重い。前を行くHさん大丈夫だろうか。人のことより迷惑にならないように着いて行く。ミヤマホツツジ、クガイソウ、ソバナなどが見られ木道が現れると花が俄然多くなる。縁にピンク色に薄化粧したツマトリソウはなんと可憐な花だろうか。ミツバオウレン、イブキボウフウ、イワイチョウ、コケモモ、カライトソウ、ニッコウキスゲ、キンコウカ、タテヤマリンドウ、ヨツバシオガマ、エゾシオガマ、ミヤマダイモンジソウの花があたりを飾る。木道は途切れ途切れで緩やかな登りが続く。
 
コケモモ ニッコウキスゲ オオコメツツジ
キンコウカ キンコウカ ヨツバシオガマ


 雪渓の水を飲んでいると、高山植物グリーンパトロールの2人に会う。「昨日から1週間前は悪天候でなにも見えなかった。」という。1日登山を伸ばしたリーダーのTさんの判断でよい天候に恵まれた。我々の意思をまとめタクシーや山小屋の予約の変更に奔走してくれたことに感謝。

ミヤマダイモンジソウ エゾシオガマ ハクサンコザクラ
タカネスミレ ミヤマキンポウゲ シナノキンバイ
クロトウヒレン シナノキンバイ カニコウモリ
ウサギギク コバイケイソウ クルマユリ


 ずっと先にそびえる前朝日に小さな人影。あそこを登るんだという声に足取りが更に重くなる。だが足元にけなげに咲く高山植物に心が癒され元気付けられる。ウサギギク、カニコウモリ、クルマユリ、クロトウヒレン、クロクモソウ、コバイケイソウ等が道案内。やがて木道となり下方に雪渓が落ち込む池がある。あと0.5kmという表示に気を取り直し前朝日の鞍部に達する。木道の先に瀟洒な作りの赤い屋根の朝日小屋が見えホットする。


前朝日岳 朝日小屋 朝日小屋


 15時到着。予定より1時間も早く到着できヤレヤレ。「朝日小屋管理人イトウ(清水)ユカリ」さんですとのTさんのしゃれた紹介。清水ゆかりさんは評判どおりの明るい気さくな方で、朝日小屋の人気の立役者。数年前から父の後を次いでいる。その父の朝日小屋一代紀は今秋発行されるようである。きょうから清水ゆかりさんフアンになりそう。今日の泊まりは少なく40人ほど。驚いたことにトイレは水洗です。
 部屋割りは2階の10畳間に6人が泊まること。夕食、朝食とも5時から。弁当の予約もする。2階に上がりとり合えず乾杯。酒を飲まないTさんの分もいただきました。夕食まで時間があり山小屋の周りの花園の高山植物観察をする。


カライトソウ 朝日小屋食堂 夕食


 夕食の準備が出来ましたとの放送で食堂へ。アルバイトの若者がテキバキと世話に当たる。昼間出合ったXさんも隣席に。我々より1時間も早く到着したようだ。食事は和食のご馳走で大満足。食前酒のサービスがあります(ワイン、日本酒、ウイスキーから一つ)。セルフサービスでコーヒーを飲めます(100円) 。器はすべて陶器で他の山小屋との違いを見せる。また食事中花の朝日岳周辺の高山植物のビデオが流れる。テレビのニュースで「北陸地方は今日梅雨明けした」と報じると、「ヤッタ!」Tさんの判断の良さに改めて感謝。夕食後の18時30分ごろ疲れのためか気を失ったかのように眠りにつく。「ブロッケン現象が見えた」という声がかすかに夢の中へ。






第2日目 16年7月23日 晴れ
コース:朝日小屋→朝日岳→雪倉岳→三国境→白馬岳
メンバー:3人

 深夜の2時頃喉の渇きで目が覚める。この部屋の泊まりのものはいびきもなく静か。また眠りにつき次にペンライトで照らすと4時前。4時10分起床。外に出ると冷たく気温15℃、白馬岳の山頂付近がが朝日に輝く。5時に食事、弁当を受け取り、素晴らしい朝日小屋のゆかりさんに別れを告げいよいよ白馬に向け5時30分スタート。



 
  朝日小屋をスタート


 


 
  朝日小屋前からの白馬岳


 まずは朝日岳の道を登る。オオバタケシマラン、アオノツガザクラ、ヨツバシオガマ、コイワカガミ、ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、ネバリノギラン、ミヤマダイモンジソウ、ハクサンボウフウ、ミヤマアズマギク、タカネナデシコ等の花を見ながら進むと木道が現れ、間もなく6時30分朝日岳2418m山頂に到着。ここの山頂も展望が素晴らしいが後の行程を考えるとゆっくりする間もなくスタート。ここでは珍しくなったと言われるシロウマアサツキが咲いていた。約1時間ほど下って7時30分水平道と合流する。


アオノツガザクラ オオバタケシマラン ミヤマアズマギク
ミヤマウイキョウ ハクサンフウロ オヤマソバ
シロウマアサツキ テガタチドリ ミズバショウ





 ここからしばらく木道で両脇には延々とお花畑が続き、ミズバショウの花が咲き残り歓迎してくれる。
「木道の下り注意」とTさんスリップ転倒事故が多発し、濡れた時が怖い。リュウキンカ、コミネカエデ、エゾシオガマ等の花が続きデジカメ撮影でなかなか前に進めない。。
 水場で水を補給。1500ccも汲みこんだから1日分たっぷりある。小桜ケ原の木道も感じのよいところ。道の両脇にはタカネナデシコ、タカネトウチソウ、シナノオトギリ、タカネグンナイフウロ等の花が咲き乱れ白馬岳や旭岳の見事な展望。10人ほどのツアーの一行に会う。お年寄りのかなり疲れた様子。こちらは「花解説付の5万円コース、ツアーは花解説なしの10万円コース」とTさん。なるほど、なるほど。


リュウキンカ コミネカエデ ミヤマシグレ
シモツケソウ ミヤマムラサキ ミヤマシオガマ
タカネナデシコ カンチコウゾリナ オニシモツケ
シナノオトギリ タカネトウイチソウ タカネグンナイフウロ
シキンカラマツ クモマミミナグサ タカネシオガマ


 燕岩を過ぎて雪倉岳への本格的な登りになる。石ころだらけのガレの登り道で滑りやすく、照りつける
太陽で汗だく。亀のような歩みが続く。この付近から紫色のチシマギキョウが見られる。11時頃やっと雪倉岳2610mに到着し昼食をとる。この山頂も遮るものがない360度の大展望に心の中も冴え渡る。家に携帯電話すると通じる。昨日お世話になった朝日小屋が前朝日と朝日岳の間にポツンと見える。

 
雪倉岳2610m 朝日小屋の弁当


 雪倉岳に別れを告げて30分ほど下ると雪倉岳避難小屋に到着。今晩の先客3人が狭い部屋で寝転んでいた。12時30分。ここから鉢ケ岳を巻いての登り下りとなり、雪渓が点在しシナノキンバイやチングルマの大きなお花畑が広がり、地上の楽園とはこんなところであろうか。


タカネバラ コタカネコウリンカ ミヤマイブキボウフウ



雪倉避難小屋
シナノキンバイ


 上杉謙信が金を採掘したと言われる鉱山道分岐をすぎ、長野県、新潟県、富山県の県境の三国境に14時ごろ到着する。ここまで来ると白馬岳から白馬大池に下る登山者や逆に白馬大池から白馬岳に登る登山者が俄然多くなる。朝日岳方面へは2割にも満たないようだ。それだけに今日歩いた来た道は花が一杯で人も少なく最高だった。14時33分発。
 
 白馬岳山頂への登りはガレの石ころ道の急登、もう山頂かと思わせるニセピークが3つもある。疲れもピークに達し可愛いい花を撮る余裕もない。馬の背を過ぎ白馬岳山頂も間近になり足取りが軽くなった。先頭を行くTさんの姿は見えず先に到着したのかな。次を行くHさんもスピードを上げ15時30分白馬岳山頂に着く。この間の標準歩行時間は1時間で我々としてはこの時間内で立派、立派。
 

白馬岳山頂 2932m 新田次郎の強力伝に出てくる展望台


 白馬岳山頂は4〜50人の黒山の人で一杯。360度の大展望を楽しむ人。記念写真を撮る人。白馬大雪渓を見下ろす人。ブロッケン現象を見る人、人。・・・・宿に下る。途中の人盛りは雷鳥のツガイ見物。日本一早く開設で1500人収容と言われといわれる白馬山荘はすごい人。ウルップスソウの咲く道を下ればもう村営頂上宿舎に到着だ。16時30分。
 
 2階の部屋の2段ベットの上は今日の寝所。畳4枚に布団4枚。布団1枚に小さな赤ちゃん用かなと思われる枕が3つ。ラッシュの時は畳1枚に3人と聞いているがなるほど。これで寝れるのかなあ。
夕食は和食のバイキング形式。ゴミを出さないため取ったものは全部食べよう。取りすぎた。食べ過ぎた。
夕食後高山病で頭が痛いというTさんは休んで、Hさんと外のテラスに出る。前方には杓子岳
が夕日に輝いて美しい。昨日単独行のXさんと出会う。山頂に14時頃到着したようで若い人は早い。 

 
夕日の杓子岳と鑓ゲ岳 ウルップスソウ
ブロッケン現象

夕食 朝食








第3日目 16年7月24日 晴れ
コース:村営頂上宿舎→白馬岳→三国境→小蓮華山→白馬大池→蓮華温泉
メンバー:3人

 昨夜は孫や友人に絵葉書を書いて(山頂から郵便が出せる。)寝たのは19時30分頃。朝は3時ごろから早朝発ちの人のもの音で目が覚める。4時を待ちかね起床し、山小屋としては上々の朝食をとる。
5時30分村営頂上宿舎出発。今日の行程は歩行5〜6時間で下りが多く楽なものだ。





 昨日来た白馬岳に高山植物を撮りながら再び登り返す。6時20分。山頂からの大展望は素晴らしく、槍、穂高連峰。剣、立山連峰が雲上にそびえる。




白馬三山

右から
白馬岳
杓子岳
鑓ゲ岳


 三国境を過ぎて小蓮華山に向かう。7時20分。このコースの白馬三山の展望は素晴らしい。合間に遠く槍が岳が見える。Hさんはケルンに会うと小石を一つとり、積み上げて行く。タテヤマリンドウ、チシマギキョウ、イワギキョウ、タカネヤハズハハコ、チングルマ等々高山植物の豊富な快適な山道に、苦しさも忘れて「来て良かった、病み付きになりそう、また来よう」などの声。
小蓮華山2768mの山頂の展望も申し分ない。白馬三山やこれから下る白馬大池や白馬大池山荘が
赤く見える。
 
 ハイマツの多い雷鳥坂を下るが雷鳥はこのごろ見かけないようだ。Tさんが是非見たい見せてやりたいと言っていたリンネソウがついにハイマツの下で見つかる。スエーデンの植物学者のリンネの名を冠したこの高山植物は花茎の先が2つに分かれ、花が2つ付くから夫婦花ともよばれハイマツの下に多い。
ハイマツの合間にハクサンシャクナゲが咲き残っていた。

 間もなくハイマツ帯を抜け石ころ砂礫地。小石に囲まれた盛りを過ぎたコマクサがあちこちに見られた。
 
チングルマ アオノツガザクラ


白馬大池前は一面のお花畑。 チングルマ、アオノツガザクラ、タテヤマリンドウ等が咲き誇る。白馬大池山荘前で小休止。10時。今日は土曜日で人が多いが大部分は栂池方面のようだ。白馬大池山荘を見学。「・・・畳1畳に3名になると思われます」。だって。改めてどうして寝るんだろうか。


   


 蓮華温泉に向け最後の下り。10時25分。頭大の石ころ道で足元はすこぶる悪い。雨の日は要注意だが今日はその心配なし。だが先ほどからガスが出てきて朝日岳、雪倉岳の展望がきかないが昨日までの好天を思うと贅沢も言えない。ハクサンシャクナゲ、オオヒョウタンボク等を撮りながら行くとベニバナイチヤクソウやオオバミゾホウズキの花が続く。
 

イワギキョウ チシマギキョウ ミヤマクワガタソウ
ハクサンフウロ ミヤマダイコンソウ リンネソウ
タテヤマリンドウ ヤマハハコ オオヒョウタンボク
オオバノヨツバムグラ ベニバナイチヤクソウ コマクサ
タカネアオヤギソウ オオバミゾホウズキ シコタンソウ


 11時45分。天狗の庭。この付近もお花畑。アオヤギソウ、ハクサンオミナエシ、オヤマソバ、ミヤマアキノキリンソウ、ノギラン、ネバリノギラン、ハクサンシャジン、タチコゴメグサが咲き誇る。
 
 蓮華温泉の山肌にある露天風呂、「上から薬師の湯、仙気の湯、黄金湯」の説明がTさんよりあり、間もなく黄金湯に到着。13時。Hさんは内湯に。私たちは脱衣場なし、桶なし、石鹸なしの自然のままのお湯で、山登りの汗を流して素晴らしい花巡りの山旅は終了した。Tさんの企画による花ガイドありがとうございました。Hさんお疲れさんでした。また行きたいですね。


チシマギキョウ 山旅の終わりは黄金湯




HOME
inserted by FC2 system