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大峰  稲村ヶ岳・バリゴヤの頭 1726m・1580m
sanpo.no.1123  25年6月8日(土) 晴    単独
コースタイム:5:45母公堂〜6:35法力峠〜7:45山上辻7:50〜8:40稲村ヶ岳8:45〜9:58ドンブリ辻〜11:09バリゴヤの頭11:40〜12:44ドンブリ辻〜13:55稲村ヶ岳14:15〜15:00山上辻15:15〜16:05法力峠16:10〜16:45母公堂 




 

 この写真を見たら行きたくなる。前々から行きたいと思っていたバリゴヤの頭に思い切って出かけた。
稲村ヶ岳登山口の母公堂前に着いた時には2台の車が既に来ていた。1人は山上ヶ岳へ、もう1人は京都から来た若者で初めての稲村ヶ岳だという。用意していた登山届をポストに入れスタート。 法力峠の手前で5人ほどの女子の行者さんに会った。また、山上辻までの間で女子と子供20名位の行者さんと同じく鎖場で男女の行者さん30名程の行者さんに出会った。その都度道を開けて待つので大分時間がとられた。
稲村ヶ岳が女人禁止の山上ヶ岳の代わりに女性信者のために開放されているのも頷ける。 通り過ぎるのを待つ間お茶を飲む。樹間からお馴染みの大日山が姿を見せる。

女子の行者さん 樹間からお馴染みの大日山


 山上辻から稲村ヶ岳に向かう時、大日山の下の岩壁でコイワカガミ、コミヤマカタバミが咲き始めていた。オオミネコザクラは殆ど咲き終え岩壁の上の方で僅かに1株咲いているのが見えた。先ほどの京都の若者が追いついてきたので花の場所を教えるとオオミネコザクラには興味があるようだった。稲村ヶ岳の宝剣を見たいというので、石楠花の間の踏み跡を登り冬道に出て探す。そのまま見つからずに登って行くと稲村ヶ岳展望台に到着した。付近にはここでは初めて見るツマトリソウが咲いていた。若者のスマホで記念写真を撮ってやる。嫁さんも山が好きらしいが今日は仕事とかで直ぐに戻るようだ。隣の大日山へ寄るように勧めて別れる。

山上辻の稲村小屋 コイワカガミ
コミヤマカタバミ ツマトリソウ
大日山 稲村ヶ岳展望台



 地図を出し磁石で方向をセット。いよいよ気合を入れてバリゴヤの頭に向かう。名残の石楠花の花を横目に最初の岩凌地帯を下り始める。踏み跡は薄く見当をつけて直進し捕まるものが無く、後ろ向いて降りる。しばらくしてどうも方向が違うようだ。また元の崖の上に戻りやや東に崖を巻いて行くと、細い踏み跡が続いて太いロープ場が現れた。この上の木にギンギラテープを初めて付けた。更に痩せた岩尾根を下ると、モミ、ツガの植林帯となり短い20cmほどの笹原となり足元が安定してくる。倒木を乗り越え潜る。笹に隠れた枯木で向こう脛を打ち痛さで呻く。広い尾根で踏み跡が消えた所では磁石を出し方角を確かめる。しばらく下ると、はげた薄いテープが見つかりホッとする。いつの間にかピークの1559mを過ぎて、石楠花の間にバリゴヤの頭がちらほら見えてきた。

出発地の赤いテープ お馴染みの天理大の標識
間違って降りたところ 黒く太いロープ場 ピーク1559m付近
バリゴヤの頭


  下方に最低鞍部だ。高度計は1442mを指しているからドンブリ辻だろう。稲村を出てから1時間13分経っていた。大木が繁リ雰囲気の良い所だ。一息入れ急斜面を登る。急斜面と邪魔な石楠花ジャングルだが、つかまるものがないから石楠花が頼りだ。石楠花で完全に道が塞がれたがジャングルを上に向い歩くと踏み跡が出てきた。 木の根が張った痩せ尾根を越える。鉄山そっくりな場所である。
ドンブリ辻




 倒木と岩凌地帯を過ぎると鞍部が見えてきた。長いロープや倒木に掴まり下る。岩場に綺麗に輝く石があった。向こうにバリゴヤが大きく立ちはだかる。急激な登りで最後の力を振り絞って這い上がる。 正面に大岩が待ち構えていた。右を巻くか、左を巻くか思案し、よく見ると正面に太いロープがありロープをつかんでよじ登る。石楠花地帯を登ると細い尾根になる。汗が吹き出し息切れ切れに小高い所に着いた所がバリゴヤの頭であった。稲村ヶ岳の先に延びる鋭峰に行きたいと思っていたが遂に来た。一番来やすいルートだろうが自分としては満足である。 板切れにバリゴヤの頭1580と刻んでいた。 HPで見たショータンさんが付けたものだろう。山は楽しいが削られているようだ。少し7,80m先の日当たりのよい所に行ってみた。弥山や八経、行者還がよく見えた。


   岩場に綺麗に輝く石
向こうにバリゴヤ
ロープや枯木をつかんで下った 鞍部に降りて
正面に大岩 右を巻くか、左を巻くか思案し、よく見ると正面に太いロープが このピークはバリゴヤとは違った
バリゴヤの頭1580m

         稲村ヶ岳
バリゴヤの頭
バリゴヤの少し先 行者還岳


 30分程昼食休憩をして戻り始めた。最初の下りで50歳前後の単独者にあった。あとどの位で着くか聞いてきた。「もう10分もあれば着くよ」と返事。彼は鹿の角を手にしていた。ついそこで拾ったと誇らしげだった。吾輩もしばらく注意しながら歩いたが見つからなかった。ドンブリ辻までは尾根を間違う、石楠花ジャングルに突っ込む事態があったが比較的楽に戻った。ドンブリ辻からは笹原の苦しい登りで巻道の足跡に従ったが、途中から石楠花薮を突ききって尾根道に復帰した。岩凌地帯まで帰ると余裕も出てきて、今日のコースを振り返った。桧の生命力の強さを見せつけられた。下手な説明するより写真で見て下さいネ。最後の稲村ヶ岳は遠かった。展望台に着くとゆっくり休んだ。20分も待ったが今日唯一出会った方が現れなかった。途中で追い越されるだろうと思ったが。

桧の生命力の強さを見せつけられた 桧の生命力の強さを見せつけられた
今日のコースを振り返る
バリゴヤの頭の向こうには弥山・八経が見える
 


 宝剣を探しに稲村から冬道を下ることにした。稲村ヶ岳から大日山の好展望位置に下る。更に石楠花の枝を踏みながら行くと、おおーこんな所に「オオヤマレンゲ」が3個の蕾をつけていた。今朝来た場所より更に下ると小さな台地になり宝剣があった。昭和23年5月に奉納されていた。鍾乳洞を発見した赤井五大松の名が刻まれている。そして五大松翁は現在の稲村ヶ岳登山道「五大松新道」を昭和の始めから7年をかけて、ノミとツルハシでコツコツと切り開き完成させている。道幅も広くなだらかで多くの登山者に利用され、女性登山者が稲村ヶ岳を訪れる理由ともなっている。それまでは現在の毛又橋の辺から尾根にとりつき白倉山を経由して山上に登ったようで難路であったらしい。(大峰奥駆道七十五靡ナビキ 森沢義信著より) この宝剣地点から尾根は別れるが、右の踏み跡を辿ると登山道に出た。



       オオヤマレンゲ蕾が見える
稲村ヶ岳の宝剣


 大日山の裾を巻く岩壁にはオオミネコザクラの残骸や咲き始めのコイワカガミが見られた。またはるか上にはイワナンテンらしき株も見られた。山上辻に着くと稲村小屋の前で若い大学生グループがテントを張っていた。6人用が3張り。話かけるとレンゲ辻の女人禁制の門を見たのか、山上ヶ岳に行って見たいが残念やわと。まだまだ大峰には古いしきたりが残ってます。

 20人程の年寄りグループが出発しそうで、あの後に付いたら遅れるなあと思っていたら、山頂に向かうではないか。この時間に。3時を 過ぎているが小屋泊まりだろう。予定の時間より少し遅れて母公堂についた。いきなり20人程の年寄りグループを見なかったかと中年男が聞いてきた。小屋から山頂に向かったよと言うと慌て出した。マイクロバスが降りて来るのを待っているとか。携帯も通じないから待つより他なかろう。 母公堂ではふっくらとした感じのいい奥さんがコーヒーとお菓子を出してくれた。11時間の行動で疲れ切った体にコーヒーの味が滲みた。

 長丁場の1日でやはり、バリゴヤの頭は手強かった。足のあちこちの擦り傷がそれを物語っている。モジキ谷からバリゴヤに上がって稲村、クロモジ尾周回もやって見たいがもう年だし単独では諦めようかな。母公堂の冷たい清水を魔法瓶とペットボトル2本に汲んで帰途についた。

6人用テント 稲村小屋 母公堂にて




 

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